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分散型予測市場の微視的構造:Polymarketのオーダーブック分析
The Anatomy of a Decentralized Prediction Market: Microstructure Evidence from the Polymarket Order Book
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暗号資産ベースの予測市場として最大規模を誇るPolymarketの市場微視構造を調査した研究論文が発表された。本研究は52日間にわたって収集された30億件のティックレベルのオーダーブック公開フィードを、ブロックチェーン上の正確な取引記録と照合することで、600の市場を対象とした層化パネル分析を実施している。
研究では8つの重要な様式化事実が報告されている。まず市場の構造面では、ロングショット(低確率イベント)において買値と売値の スプレッド幅が大きくなる傾向が確認された。また流動性の深さのプロファイルは、オーダーブックの頂部に集中するのではなく、より均一に分散していることが明らかになった。さらに、メイカー(流動性供給者)のウォレットは多様性を持ちながらも、特定の大規模プレイヤーに集中する傾向も観察されている。
技術的な測定結果としては、Polymarketの公開オーダーブックから推測される取引方向が、ブロックチェーン上の実際の取引とは約59%の一致率にとどまることが判明した。これはNASDAQにおけるLee-Ready手法の約80%の精度を大きく下回っており、Kyle's lambdaなどのマイクロストラクチャー指標もフィードベースと実際の取引方向で異なる結果を示している。中央集権的な取引所と比べ、分散型市場での測定精度の課題が明確になった。
研究チームはこれらの知見から、Polymarketのマイクロストラクチャー分析では取引方向の推測にオンチェーンのOrderFilledイベントを直接利用すべきと結論付けている。またデータ結合を実行するレプリケーションパッケージも公開予定とされており、今後の同様の研究基盤の構築に貢献することが期待されている。